第二十六話 白銀都市アリアンナ 前編
「ふふふ、楽しみですね!」 白銀都市アリアンナへ向かう道中。 既に一行は中都市カーラルを発ち、だたっ広い平原を目的地へ向けて北上していた。 うららかな小春日和のもと、芽を出したばかりの若草が柔らかい風になびいている。こんな日には外で昼寝でも…
魔法道具で得たものは。
第四章 白銀都市アリアンナ編
第二十五話 次なる街へ
※この回から入る初見さん向け・ざっくりメインキャラ紹介 スロウ(主人公、男):記憶喪失の青年。 最終目的は、場所も知らない自分の故郷に帰ること。 そのために記憶を失うまえから持っていた魔法道具「音叉剣」を手掛かりとして旅をしている。 デュー…
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設定資料と解説
・レオス教とは この辺の設定はこれから煮詰めていくのですが、一つ確定しているのは、「魔法のある異世界の存在が公式に信じられている」点です。以下はとりあえずの仮設定なので、それを踏まえたうえで読んでいただけると幸いです。 正式名エクスレオス教…
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第二十四話 魔法道具で得たものは。
「ス、スロウさん! 今のなんですか!?」 オドンを吹き飛ばした後に、耳を抑えたセナが詰め寄ってきた。 あの金属音は聴覚の鋭い半獣人にはちょっとつらかったかもしれない。 でも、なんだと聞かれても、正直俺にだって分からない。むしろこっちの方が驚…
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第二十三話 小さな決意
「来たか、セナ・フラントール」 昨日と同じ薄暗い広場で、奴隷商人オドンは影を伸ばして待っていた。 猫耳の女性に連れられてやってきたセナを見て、オドンは腕を広げる。「さあ、答えを聞こうじゃないか」「その前に」 セナは毅然とした態度でオドンの言…
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閑話 察知
スロウが胸元のもやもやを取り除けぬまま足を踏み入れたのは、奴隷市場だった。 首輪をつけた奴隷と商人が歩いているのを見かけ、ふらふらとその後をついていった先で見つけた場所である。 いくつものテントが張られ、その中に首輪をつけた男女が値札を張…
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第二十二話 帰路
既に一行は地下遺跡から出て、中都市カーラルへの帰路についていた。 ダンジョンから脱出した直後、出入り口にはヘンリーさんと似たような軽装備の人たちが集まっていて、壊れたキャンプを回収したり、見覚えのある門番の騎士を治療したりしていた。 ジャ…
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第二十一話 名も無き奴隷の少年
そばに着地してきてすぐ、大丈夫ですか!? とスロウの身を案じてきたセナ。そんな彼女に感謝の言葉をかけながら、視線を『彼』に戻す。 鈍い動きで首をさすっていた魔人の少年は、そこに拘束具がないことに気付いたようだ。 何度も何度も確かめるように…
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第二十話 魔人 後編
入口があるはずの崖へ走りながら、疑問に思っていたことを聞いた。「デューイ! さっきの子って何!?」「ああ!? 『魔人』だよ、クソみたいなやつらだ! 水の太陽と同じ、重力魔法を使うバケモンだ!」 デューイは苛立たしげに吐き捨てた。横を並走す…
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第十九話 魔人 前編
デューイのところに戻ってきたら、案の定あいつはニヤニヤしながら待っていた。 晴れた表情で前を進むセナを尻目に、デューイが小突いてくるのがくすぐったかった。 ちなみに現在は帰り道の途中である。時間的に正午は過ぎていて、デューイいわく初探索だ…
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閑話 小さな影
冒険者の三人組が、クロノワトルの地下遺跡へ入っていった後。 その入口となる洞窟の前に座る聖騎士の男は、あくびを漏らしていた。 鎧の内側に隠した賄賂を何に使おうかと考えていたところで、前方から小さな影が向かってきているのを確認する。 ……な…
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第十八話 響き、共鳴
休憩が終わって、三人はまたダンジョンの中を歩いていた。 スロウが見張りに行った時は魔物の気配などまったく感じなかったし、探索を再開した今もそれは変わらない。相変わらず地下遺跡は静かなままだった。 ただ、なんとなく身体が重い、入ってきたとき…
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