第六十五話 不気味な砂嵐
――北の方角を歩き続けて数時間が経ったころ、天候が怪しくなってきた。 妙に風が強くなってきて、開けていたはずの視界が濁ってくる。 あの抜けるような青空はいつの間にか見えなくなり、吹き荒れる砂塵に危険を感じ始めた。 これは、今までにない現象…
魔法道具で得たものは。
第六十四話 一番のごちそう
六日目。 北の方角を調べることにする。 オアシスのおかげで喉の渇きは癒せるが、飢えをごまかすのはさすがに限界になってきた。 まだ暗いうちから二人して目が覚めてしまい、すぐに出発することになった。 広大な砂漠をちまちま歩いていると気が狂いそ…
魔法道具で得たものは。
第六十三話 収穫ほぼ無し
山脈だと思っていたものは、山脈じゃなかった。ほぼ垂直に近い崖が城壁のごとくそびえ立つ赤い台地だった。途中からやや傾斜のある地面が続いたかと思うといきなり垂直になったような地形である。 スロウたちは「ようやく着いたか」と言わんばかりにため息…
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第六十二話 砂漠の探索
「ねえ!! なにか見える!?」 ――砂漠に転移してから四日目、空に手が届きそうな位置で雲のように浮かびながら、スロウは遠くから聞こえてくる声を認識する。 下の方を見ると、無限に広がる黄金の砂漠に、ポツリと一人分の影が浮かんでいた。 重力魔法…
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第六十一話 小さなオアシス
「ほら、あんたも食べなさい」 暗くなったオアシスのそばで、唐突に食糧を差し出される。 スロウは、フードを外した状態でぶっきらぼうに渡そうとしてくるエフィールに怪訝な目を向けていた。 魚骨の仮面族を埋葬したあとはオアシスで水分を補給し、気が付…
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第六十話 漂流 後編
「水……水だ!!」 ――急いでエフィールを背負い、水源へと走る。 近づくにつれてその様子が良く見えるようになり、同時にそれが本物の水だという確信も強くなっていった。 やった! 水だ! 砂地が続いていたはずの足元が、徐々に徐々に固くしっかりと…
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第六章 砂漠の大陸編 前編
第五十九話 漂流 前編
滴る汗が顎あごを伝って落ち、蒸発していくのをぼんやりと見た。 動かす足は異様に重く、油断すれば滑りそうな黄金の砂地に延々と体力を消耗されながら、歩き続ける。 きっと後ろを見れば地平線の向こうまで自分の足跡が続いているのだろうが、わざわざ振…
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第五十八話 ????
――ここはどこだろう? スロウは、霧の深いところに立っていた。 目の前には墓標が立っている。 石で作られた、きっととても古いものだ。 下の方は白い花々に埋もれていて、涼しい風に撫でられるように、優しく揺れている。 ぼんやりと顔を上げると、…
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第五十七話 枝分かれ
「――と、とにかく、逃げましょう!」 スロウが使った謎の能力に呆けていたチームは、セナの一言によってようやく動き始めた。 異形の魔物と同じ姿の召喚物に、全員が困惑しながら立ち上がる。 それはすさまじい性能だった。 ベレウェルの黄金剣ですらさ…
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第五十六話 覚醒
視界が、暗い。 さっきまで夕焼けに照らされていたはずの廃都市は、今や冷たい暗闇に沈んでいる。 ひどい雨が降っていた。ザアザアと降りしきる豪雨の中、水面上に深い霧が広がっていく。 そんな中、無数の黒い影が、雨の降る音に混じって蠢いている。 …
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第五十五話 淀んだ空
「その剣、やっぱり黄金剣の力も使えるのね。びっくりしたわ」「……ああ。もう前みたいに一方的にやられたりはしない」 沈んでいく夕焼けを背に立ち、赤い髪を風になびかせるエーデルハイド。 少し息を切らしたくらいに見える相手の様子に、苦い思いを感じ…
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第五十四話 呪われた黄金剣
風圧に目を細めながら、顔を下へ向ける。 凶悪な角度の下り坂だ、転んだら真っ逆さまに落ちていくかもしれない。 半分四つん這いの体勢になって、さらに上へと足を進める。 スロウたちが戦っていたのは、かつて水の太陽によって「持ち上げられた」という…
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