第百話 あの少女の動向
熊人族の里は、徒歩で数時間のところにあった。 既に時間は正午過ぎ。 早朝の決闘から日は昇って、鳥や虫の鳴き声が響き始めた豊かな大森林を進んでゆき……。 そうして見えてきたのは、規模の大きな集落だった。 広い畑、入り口のでかい家、巨大な食糧…
魔法道具で得たものは。
第九十九話 光明見える
決闘に勝利し、諸々の要求をしに猫人族の族長とともに歩いていく。 向こうの代表らしき相手は、三十代かそこらの壮年の男だった。 ドランドランは「細い男」というふうに表現していたが、俺からすればこの人も十分でかい。 熊人族に特有なのであろう丸い…
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第九十八話 序列第十位
爽やかな風が吹き抜ける、早朝の大森林。 樹上に組まれた猫人族の里から降りた俺たちは、その大地の上に立って相手が来るのをじっと待っていた。 土気色の広場の真ん中で堂々と仁王立ち……というわけでもなく、俺と族長が並んで打ち合わせをしているよう…
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第九十七話 今後の方針
「ちょっと」 茫然としていると、裾を引っ張られる感触がした。「兎人族って言ってたけど、あんたが探そうとしてるのってあの兎の子なのよね? しっかりして。 まだ取り返せないって決まったわけじゃないでしょ」 小声で耳打ちしてくるエフィール。 そこ…
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第九十六話 歓迎
……なぜか、周囲に侍るのは猫耳の美少女たち。 目の前に広がる、肉類を中心とした豪勢な食事に目を丸めつつ、やたらと肌を密着させてくる猫耳の娘たちにキョドりまくる。「ささ、あなた方は私たちの恩人ですから。 どうぞ、くつろいでくださいませ」「……
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第七章 セトゥムナ連合編
第九十五話 久々の対人戦
「頼む! いま奴隷に落ちたら、私の家族が……!」「知るかよ! お前たちは『決闘』に負けたのさ! 敗者は勝者の下につく……それがルールだろうが!!」 追われていた方の半獣人たちが乱暴に取り押さえられ、手錠らしき拘束具をつけられていく。 彼らは…
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第九十四話 やくそく
気が付いた瞬間には、見覚えのある墓地に立っていた。 真っ白な花畑が地平線上にずーっと広がる、涼しい空間。 墓標の上を霧が揺蕩う、幻想的な景色。 足元に触れる、柔らかい花の感触。 今回は、割と意識がはっきりしていた。 確信めいたものを感じな…
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第九十三話 砂嵐の塔
――ようやく、たどり着いた。 ついに水も食料も尽きようかという時に、自分たちはそれを見つけた。 舟を停めて、小さな砂丘を登り、そのてっぺんから確認する。 竜巻のようにそびえ立つ、砂嵐。 その薄茶色の雲の粉塵が螺旋らせん状に巻き上がり、そし…
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第九十二話 取引
「――――」「……いいえ。気持ちはうれしいけど、戻るわ」 少し離れたところで、エフィールがベールを被った少女と手をつないでいた。 あの踊り子のような風体の子はたしか、マーヤと言ったか。 少しうつむいているところを見るに、もしかしたら泣いてい…
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第九十一話 芽吹き
「――とりあえず、買うものは決まったわよね」 砂塵が舞う市場の往来を進みながら、彼女が言った。 影が無くなるような強い日差しの下、エフィールは何かの動物の素材を使った革袋を下げながら、これから買い揃える物品を諳そらんじている。 必要なのはす…
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第九十話 選びなおし
砂丘をいくつも超えた先に、あのサソリ型の魔物がいた。 やつは蜃気楼に揺らめきながら長い尾を立たせ、複数ある脚の何本かを欠けながらも悠然と歩行している。 ――目的の魔物の姿を確認した異種族たちの一行は、慎重に足を進ませていく。 その中には、…
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第八十九話 啓示
スロウはマーヤとの話を終えて……エフィールがいるはずの宿へと足を向ける。 途中で露店を見つけたので、あいつも腹を空かせているだろうと思い、 団子状に丸められた焼き料理を二人分購入。 これは味は薄いがなかなかに腹持ちがいい。 大きな葉で包装…
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